キリムの店*キリムアートアトリエ
【Kilim Art Atelier】 キリムと絨毯販売
こだわりのキリムで作ったバッグや
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r40


産地 レイハンル HATAY REYHANLI KILIM
年代 1830〜1840年頃
大きさ 374*164cm
価格 お問い合わせ下さい


真ん中に模様のないレイハンルの第二弾。
何と言ってもその特徴は、本当に紙の様に薄い超高品質と独特のコチニールによる赤色です。
薄さや織り目の細かさはr35と同等で、余りに薄いため、移動させる度に破れはしないかと心配になるくらいで、他のキリムの間にサンドイッチにして収納していると、薄過ぎてどこにあるのか分からなくなり、紛失したのかと冷や汗をかきます。
極度に薄いため、ちょっとした収納時の折りムラが画像に現れていますが、現在はフラットな状態で保存していますから、次第に消えていきます。

色彩は概ね掲載画像の通り、これでもかと濃厚でありながら、マイルドな色。
コチニールの赤についてはr35と同じように、他のキリムのコチニール色とは一味も二味も違う鮮烈な赤色で、カイガラムシの種類や育った環境等の違いが色素に影響しているとしか考えられません。
加えて、ハタイはその土地柄アラブ世界の文化圏にある事から、イランで発達した美しい天然色に染め上げる技術、つまり、触媒が導入されたお陰で、美しい天然色を極限まで引き出しています。
余談になりますが、ここでアルカリ性の溶剤を使えば紫味を帯びた色合い、酸性ならほんのりオレンジっぽくなります。
特徴的なグリーンの縁取りは一様ではなく、黄緑色の他にまだらな色むらが故意に施されています。

画像では絶対に判らない点として、ぜひお伝えしたいところはその肌触りの良さ。
ハタイの工房又はその類の専門家に発注し、何らかの装飾目的で特別に誂えた本品は、特殊なウールが用いられ、柔らかい以上に例えようのない質感です。
敢えて例えるなら、同年代の「シャルキヨイ」の糸に似ていますが、それらより遙かに細い糸で、150年を越えるキリム特有の異様ななめらかさをこれは持ち合わせています。
一般的なレイハンルに使われている糸とも糸質が全然違います。

また、このレイハンルでは、r35以上に左右のカナットが均等に織り上げられ、置いただけで二枚がピタリ寄り添い、長さが等しいにも係わらず、完璧な仕事となる事を嫌ったのか、特に、後半部分では意識して模様の不一致を作ってあります。
しばしば古いチフカナットであっても、強引にストレッチを掛けて整形しなければならない事がありますが、こういうレベルの品物に対しては余計な詮索をしないのが礼儀であり、そういう事をしないで済むというのは些細な点かもしれませんが、ありがたいものです。
これ程の緻密なキリムが際だった変形もなく、当時のまま緩やかにくびれた美しい絵姿を、長い年月を経てなお保ち続けている事はまさに奇跡そのもので、そういうキリムを目にしながら見過ごす事ができず、また一枚在庫に積み上げました。

興味的な事項は、とある国に住むイラン人が密かに、このレイハンルを長く所蔵していたという事。
詳細ないきさつは不明ながら、ハタイというアラブ世界を取り巻く当時の文化圏が偲ばれるエピソードです。



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