キリムの店*キリムアートアトリエ
【Kilim Art Atelier】 キリムと絨毯販売
こだわりのキリムで作ったバッグや
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fc144 ヘルキ・キリム

産地 ヘルキ HERKI KILIM
年代 1915年頃
大きさ 194〜199*79p
価格 135,000円


大らかで伸び伸びとした、織り手の気持ちが伝わって来るキリム。
元々、クレイジーな変調を得意とするヘルキ、その中でもこれは頭一つ抜きん出たヘルキらしさが存分に発揮された作品です。
細長いサイズながら、上と下にのみ赤と黒/こげ茶の縞々があり、これがオリジナルの長さだと分かります。
後で触れますが、元々はこれに編み込みの房が付いていたと思われます。
左右の端には、横のボーダーを省く時によく用いられるギザギザ模様があり、紛れもなくこれが一枚物のキリムです。
何に使ったものなのか推測する他ありませんが、当時の彼らにとってこれは特別な存在ではなく、日常にありふれたもの、敷いて使っても当たり前なのに使用感がありません。
という事は壁掛けの一種として使われていたと考えられ、当時、必要とされた男性と女性の生活の場所を別ける為の間仕切りと考えるのが妥当でしょう。
余程の余裕のある邸宅ならまだしも、一般の家庭では主人の個室を設ける事はあっても、女性専用の部屋が無い事もしばしば、そんな時に、ちょっとしたキリムが結構な目隠しになるもの。
きっと、房の近くを壁に釘等で打ちつけてあったのでしょう、長年吊るしたままで穴が広がったのか、その部分は取り除かれています。
制作するに際して、ある程度見栄えも意識したと思われますが、あくまで自家消費する為のものであり、昔から伝わるモチーフを使い、気の向くままに織り手が持つ技術をフルに活用して織られたと思われます。
同様のサイズに婚礼用もありますが、この変幻自在のパターンはそれとは違うようです。
ただ、水平機で織り進む上、特段の制約も無ければ自由度は高く、キリムは無論、ジジムやスマックの技法を併せて用い、敢えて、規則性を無視するような仕草が特徴的。
アナトリア地方に根付く思想では、ギザギザ模様や櫛は天国に登る階段という言い方をする事があります。
しかし、これは文字通り梯子を外すような作為が込められ、1枚のキリムの上に特異な表現方法を採用、何かしら意図するものがあったという事を、こう言った作品を見ていると感じます。
中央のエリベリンデ付近にシムが広く使用されていて、コットンに銀を巻いてある定番の物の他、銀をそのまま糸の様にして織り込んであるのが実に豪快。
色彩面では、割と強いオレンジ系の色彩がありますが、多分これは天然色です。
赤と同じ染料、その染めた後の素材を再利用して染めて作ったものと思われます。
当時の環境から考えて、身の回りにある素材で染め上げる事ができるのに、わざわざお金を払ってオレンジだけ化学染料を買って使うとは、彼らの文化性にそぐわない気がします。
使用感が無い上に、密に織られ、古い割には程度な厚みかあるので、敷物にもできますが、鑑賞をメインにする方が向いていると思います。



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